山頂でリフトを降りると、眼下にアーチェリー広場に利用されている大火口が広がる。過去には火口見学が自由にできたが、現在はアーチェリー利用客のみが入場できる。お鉢巡りをすると巨大火山弾や赤色、黒色のスコリアを観察できるが、溶岩流はなく、神社横にのみ岩体が存在する。岩体には火山弾が溶け込んだと思われる構造があり、これは火口内に一時たまった「溶岩湖」の名残とされている。火口壁は楕円形で、一周約千メートルあり、南北で遠望・近望が楽しめ、伊豆半島ユネスコ世界ジオパークの景観サイト、研究サイトとしての価値が高い。標高580メートルの三角点付近からは、大室山の溶岩流が対島川をせき止めてできた「池」の田園風景が広がって見え、源流の遠笠山も確認できる。
火口壁の浅間神社の他にも、最高地点の東方斜面に「八ヶ岳地蔵尊」、西方斜面に「五智如来」が安置されていて、信仰の山となっている。伊豆大島の南方には「大室だし」という漁場があり、大室山はランドマークにもなっている。「生活の山」は現在、「観光の山」、「文化の山」としての評価がたかまっている。<続く>
(斉藤俊仁)
大室山にはジオテラスの以下のジオツアーでお客様を案内しています。
A-1 大室山コース
A-2 大室山・さくらの里コース