正月三が日が明けて7日の朝になると昔は日本中の台所からまな板に響く包丁の音が聞こえたものだった。
そう七草粥である。
この朝、父親は羽織袴に襷をかけ子供たちの「七草ナズナ唐土の鳥が日本の土地にわたらぬ先に合わせてストトントントン」との掛け声と共に七草を威勢よく切り刻む音が日本中を賑わせてものだった。
私は伊東市の行事の一つ「七草粥」の講師を数十年務めており、子供たち共に近所の野原を回り七草を摘み、それを使って上記の掛け声と共に彼らに七草粥を調理させ食すのだが、普段食べたことがないにもかかわらず何杯もお替りする生徒もいて伝統の継続は望み薄ではなさそうである。
七草とはセリ、ナズナ、オギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ(カブ)、スズシロ(大根)であるが野菜類の入手困難な冬季に芽を出す七草は旺盛な生命力のシンボルでありかつ栄養素が豊富なため無病息災を願って7日に食べる習慣が生まれたのである。
御馳走で疲れた胃を和ませる七草粥を是非とも食べて頂きたい。