優美鉄壁なハマゴウ
(シソ科ハマゴウ属)花期:7~9月
夏期のいがいが根を訪れと高貴な芳香が漂い、それに誘われて進むと紫色の花が辺り一面に浮かんでいる光景が目に入る。小さな花であるがじっくりと見ると潮が舞う過酷な岩場で生き抜くための知恵が見て取れる。先ずは花の構造を見てみよう。花冠は上下に分かれた口唇形で、上唇は2裂し、下唇は3裂するが蕊が花冠の外に飛び出し、その基部より真っ白い細かな腺毛が最下部唇まで密生し、その部分がまるで舌を出しているように見える。蕊が外に飛び出すのは花冠の中の付着した塩分と湿度で劣化を避けるためであり、真っ白な腺毛は乱反射で強烈な光を発して訪虫を呼び寄せるのである。また本種を真上から見るとまるでフラワーデザイナーの作品と紛おう程である。紫の花冠を白く縁どられた葉が揺り籠のように包み込み紫、赤紫、緑、白の見事な色彩美が浮き出て昆虫だけでなく私達人間をも魅了するだけでなく、葉裏の毛が岩からの輻射熱を遮る耐熱服であることを知れば単なる優美では収まらない植物でもある。こんな優美鉄壁な花だが「馬鹿の花」と呼ぼれているのをご存知であろうか。上記の「舌を出しているように見える」と書いたがよく見ると辺り一面、正に「あっかんべー」をしている様に見え、あたかも眺める人を馬鹿にしている花なのである。
文・写真:山口康裕










